遺留分
民法では一定範囲の法定相続人に法定相続分の一部を保障する制度、すなわち、遺留分制度が設けられています。遺留分を有する相続人は兄弟姉妹以外の法定相続人、すなわち、配偶者、子、直系尊属です。
なお、この代襲相続人にも遺留分は認められています。また、胎児も出生すれば、子としての遺留分
を持ちます。
一方、相続欠格、廃除、相続放棄により相続権を失った者は遺留分もなくなります。
遺留分の割合
遺留分は、まず、被相続人が遺留分権利者全体に遺すべき相続財産の割合として定められており(これを総体的遺留分といいます)、この割合は次のように定められています。
①直系尊属のみが相続人であるときは、3分の1
②その他の場合は、2分の1
総体的遺留分に各遺留分権利者の法定相続分を乗じたものが、その者の個別的遺留分の割合となります。
遺留分の基礎となる財産
遺留分は、被相続人の相続開始時の所有財産の価額に、贈与財産の価額を加え、その中から、債務の金額を控除して算定します(民法1029条1項)。
各遺留分権利者の個別的遺留分の額は、上記遺留分算定の基礎となる財産額に、総体的遺留分の率及びその権利者の法定相続分の率を乗じて算定します。
遺留分の放棄
相続開始後の遺留分の放棄は、既に自分に帰属した具体的な権利なので、これは自由に処分できます。
一方、相続開始前の遺留分の放棄は、裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生じます(民法1043条1項)。その放棄は遺留分を有する者が自ら行うものであり、他の相続人が放棄させることはできません。
家庭裁判所の許可を要件としているのは、被相続人や他の相続人の強制など本人の意思に反する放棄が行われないようにするためです。
(参考文献)
・服部弘「法定相続分・遺留分をめぐるトラブル事例」税理58巻5号20頁以下
東京税理士会武蔵野支部所属
日本税務会計学会委員会(法律部門)
『顧問先等の経営危機対応マニュアル』(共著)(新日本法規出版、2022年)
『通知・判例から見る実務ー売買・賃貸借・相続・贈与等ー』(共著)(新日本法規出版、2021年)