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【相続対策】遺産分割9

遺留分減殺請求

遺留分とは、被相続人の財産の中で、法律上その取得が一定の相続人に留保されていて、被相続人による自由な処分(贈与・遺贈)に制限が加えられている持分的利益をいいます。

これに対し、遺留分に服さずに被相続人による自由な処分に委ねられている部分を自由分といいます。 民法上、被相続人が自由分を超えて、贈与や遺贈を行ったために、相続人の遺留分が侵害されたときに、相続人が受遺者や受贈者に対して、その処分行為の効力を奪う制度が認められており、これを遺留分の減殺といいます。

そして、遺留分減殺を内容とする相続人の権利を遺留分減殺請求権といいます。相続人が遺留分減殺請求権を行使することにより、例えば、遺言により全く遺産を受け取ることができない状況に追い込まれても、一定割合の相続財産を取得することができることになります。

遺留分の行使方法

遺留分権者は、減殺の対象となる遺贈・贈与の受遺者・受贈者及びその包括承継人に対し、遺留分減殺請求を行使します。

行使は意思表示の方法によればよく、必ずしも訴えの方法によることを要しません。裁判外でもよく、裁判で抗弁として主張した場合でもよいとされています。

しかし、遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅し、相続開始の時から10年を経過した時も除斥期間により消滅することになります(民法1042条)。

したがって、時効消滅するまでに遺留分減殺請求権を行使した事実が後日争いにならないように、書面で行使の事実を残しておくべきです。文章の内容も証拠として残るよう、配達証明付内容証明郵便で郵送しておくべきでしょう。

遺留分の減殺の基礎となる財産の算定

遺留分の財産の基礎となる財産を算定するには、相続開始時に存在する相続財産だけでなく、相続開始前1年以内の贈与、それに当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知って贈与したものについては1年以上前のもの(民法1030条)の合計から、被相続人の債務を差し引いた額が
遺留分の基礎となる財産となります(民法1029条1項)。

ただし、相続人に対する贈与は原則として全て対象となります(民法1044,903条)。

なお、一般の遺産分割においては、相続人において生前に遺贈を受け、また婚姻もしくは養子縁組のためもしくは生計の資本として贈与を受けた場合には特別受益として計算上その分が持ち戻されて分割の対象となりますが(民法903条1項)、もし、被相続人において持戻免除の意思表示がなされていれば遺産分割に当たってその特別受益分は算入されないこととなります(民法903条3項)。

(参考文献)

・大西隆司ほか相続対策実務研究会編集『法務・税務から見た相続対策の効果とリスク 』
941頁以下(新日本法規、2015年)
 

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川﨑啓税理士事務所 代表 川﨑 啓
保有資格 税理士・行政書士・認定支援機関
専門分野 相続
経歴 大学卒業後、都内の大手税理士法人にて、相続・資産税部門の責任者として数多くの現場を経験。これまでに携わった相続税申告や生前対策は数百件以上にのぼる。
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