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【相続対策】遺産分割5

遺産分割の方法

遺産分割を行う際、具体的な分割方法は、現物分割、代償分割、換価分割及び共有分割の4種類があります。そのうち「現物分割」とは、遺産をそのままの形で分割する方法です。遺産の分割とは、相続財
産全体に対する共同相続人の共有状態を解消する手続きですから、個々の財産についてその取得者を個別に決定する現物分割は、基本的な分割方法であるといえます。

現物分割

遺産分割の際、現物分割は個々の財産の形状や性質を変更することなく分割することができるため、換価等によるコストが発生せず、すぐに分割することができます。現物分割を行う場合には、具体的相続分を完全に一致する分割を行うことは不可能ですので、不可分財産が多い場合には、公平な分割が困難であるとはいえます。

場合によっては、金銭による調整が行われることもあり、この場合には「代償分割」の活用も検討します。

現物分割の手続き

遺産分割は、まず相続人の協議によってなされますが、協議が調わないときや協議ができない場合には、家庭裁判所の調停又は審判により分割がなされます(民法907条)。

もっとも、現物分割の場合、相続財産価格にばらつきがある場合には、遺産分割によって大きく有利になる相続人、大きく不利になる相続人が発生します。

相続人間で十分に協議ができている場合には問題になりにくいですが、一部の相続人が十分に理解できていない状況で不利な現物分割で協議がまとまり、事後的に遺産分割協議が無効である等の争いが発生する可能性も否定できませんので、注意が必要です。

まとめ

「現物分割」は特別な手続きなしですぐに分割でき、換価等のコストが発生しません。遺産分割は、その性質上できる限り現物のまま相続人に受け継がせることが望ましいことから、現物分割は遺産分割の原則となる分割方法となります。

(参考文献)
・大西隆司ほか相続対策実務研究会編集『法務・税務から見た相続対策の効果とリスク 』956頁以下(新日本法規、2015年)

この記事の執筆者
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川﨑啓税理士事務所 代表 川﨑 啓
保有資格 税理士・行政書士・認定支援機関
専門分野 相続
経歴 大学卒業後、都内の大手税理士法人にて、相続・資産税部門の責任者として数多くの現場を経験。これまでに携わった相続税申告や生前対策は数百件以上にのぼる。
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