相続の権利がある人は
相続の権利がある人を「相続人」または「受遺者」といいます。遺言書がある場合の相続の権利がある人は「受遺者」です。遺言書は被相続人の意思が書かれたもので、通常の相続では遺言書の内容が最優先されます。
遺言書がない場合は、民法上の「相続人」が相続権利者となります。相続人になれるのは、①配偶者②子・孫・ひ孫③父母・祖父母④兄弟姉妹・甥姪です。
相続人は誰かを確認
相続人には優先順位が決められています。まず、配偶者は常に相続人です。
次に子・孫・ひ孫が第1順位の相続人です。子供が亡くなっていれば孫、孫が亡くなっていれば、ひ孫と直系卑属をたどります。直系卑属がいない場合、直系尊属が第2順位の相続人となります。第2順位の相続人がいない場合に、兄弟姉妹が第3順位の相続人となります。
相続人であっても、相続の「欠格」や「廃除」が適用される場合には、相続の権利がなくなります。
相続人の中に胎児がいるとき
妊娠中に父親が死亡した場合など、相続開始時に子が出生していない場合も胎児には相続権が認められています(民法886条1項)。ただし、死産した場合には相続人でなかったことになります(同2項)。
相続人に胎児がいる場合の遺産分割は、出生を待って遺産分割をするものとされています。胎児は相続人となりますが、双子であるなど、実際に生まれるまでは相続人の数が確定しませんし、死産した場合には相続人でなかったことになるからです。
遺産分割協議にあたっては、子の出生を待って特別代理人選任の審判申立をし、選任された特別代理人が、子を代理して遺産分割協議を成立させます。
認知されていない内縁の子が相続するとき
子の相続権を主張するためには、子と亡くなった者との間に親子関係があることを明らかにしなければなりません。父が死亡した場合には、認知の訴えを提起します。認知の判決が確定した場合には、確定した日から10日以内に認知の届出をします。
被相続人の認知を受けた子、すなわち非嫡出子の相続分については、平成25年12月5日、民法の一部を改正する法律が成立し、嫡出でない子の相続分が嫡出子の相続分と同等になりました。
改正内容としては、
①法定相続分を定めた民法の規定のうち嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1と定めた部分を削除し、嫡出子と嫡出でない子の相続分を同等にし、
②改正後の民法900条の規定は、平成25年9月5日以後に開始した相続について適用することとしています。
(参考文献)
・相続手続研究会『事例式相続実務の手続と書式』(新日本法規出版、2009年)