会社設立の目的は収入移転
相続税対策としての会社設立のメリットは、本来親に入る収入を会社に移すことにより、親の財産への蓄積を防ぐことにあります。会社設立をしない場合、収入から経費を差し引いた手取り金額がそのまま相続財産として蓄積されていくことになります。
会社に不動産を移転すると、個人ではなく会社に財産が蓄積され、会社の株式を後継者に移転しておけば結果として相続税は課税されずに済むことになります。
株主を徐々に相続人にしておく
親以外の子供や孫が会社の株式を出資しておけば、親に相続が起こったときには課税関係は発生しません。収益として蓄積される財産又は会社に売却した不動産は会社を通して株主たる子や孫のものとなりますので、親の相続財産から切り離されることになります。
会社設立で親に出資してもらわなければならない場合には、株式を時間をかけて贈与していくことで対策をとります。株式贈与は、不動産を贈与する場合のように登録免許税や不動産取得税といった費用がかかりません。
株主は単独で
不動産を共有にすると、相続が発生すると所有者の数が増えるため単独所有とするのが原則です。これは会社設立も同じことがいえます。会社の株主が複数であれば会社の意思決定は株主ですので、その議決権をめぐって争いが生じる可能性がありますので、株主は単独にしておきます。
会社設立にあたって複数の相続人がいる場合には、それぞれの相続予定者ごとに会社を設立することが望ましいといえます。
所得税対策と相続税納税資金対策
会社を設立して配偶者や子供が役員や従業員として勤務すれば、会社が得た収益から役員給与や給与の支払いを受けることができます。
所得を分散し、給与所得控除が適用されますので、ファミリー全体の所得税の節税効果が得られます。
また、相続人に収入を移転することにより相続税の納税資金を蓄積することができます。
(参考文献)
・坪田晶子ほか「不動産保有会社の徹底活用法」税理57巻13号54頁以下
(2014年)