不動産の生前贈与は長期の視点で
相続対策として不動産を贈与する場合には、「何を」「誰に」贈与するかを長期的な視点で慎重に検討する必要があります。
「何を」という点では、収益を生む不動産や将来値上がりが見込まれる不動産が贈与する不動産としては望ましいでしょう。
「誰を」という点では、一つの土地を複数の子供や孫に、贈与すると将来の親族争いになる可能性が有りますので、避けたいことろです。
相続時精算課税制度や贈与税の配偶者控除の特例を活用できる対象者が受贈者であれば、上手にこれらの制度を活用しましょう。
不動産の生前贈与のポイントは3つ
1 不動産の評価は現金よりも低い
2 収益を生む不動産や値上がりする不動産を贈与することが効果的
3 相続時精算課税制度や贈与税の配偶者控除の特例を活用する
です。
これらのポイントについては、次回以降細かくご案内します。
今回は注意点と不動産登記について、触れたいと思います。
不動産贈与の注意点
1 不動産取得税が必要
不動産を相続により取得した場合には不動産取得税は不要ですが、贈与による取得の場合は通常の売買等と同様に不動産取得税が課税されます。
2 登録免許税が相続に比べ高額
不動産を相続により取得し、所有権登記を行う際の登録免許税は売買等よりも税率が低く設定されています(固定資産税評価額の1000分の4)が、贈与の場合は通常の売買等と同様の税率となります(固定資産税評価額の1000分の20)。
不動産取得税と登録免許税とを合わせて所有権移転にかかる費用が相続の場合より多くかかりますので、贈与税額と共にこれらの費用を合わせて検討する必要があります。
3 納税資金の確保
現金贈与とは異なり、受贈者に納税資金の確保が必要となります。贈与税は原則暦年贈与ですので、年を超えて納税時期である翌年3月15日までに別途現金を贈与し、基礎控除枠(110万円)を再度利用することも検討しましょう。
不動産登記で贈与が確定
金銭贈与の場合には、贈与した金銭がそのまま相続発生まで残ってると贈与者である被相続人が実際には管理運用していて名義預金ではないかという指摘がされ、不透明な面があります。不動産の場合には登記をもって贈与の事実が確定しますので、必ず証拠が残り手続き上安心です。
ところで、贈与契約書を作成し、贈与税を納付せずに時効成立を待ってから登記をしたらどうでしょう?
判例では、贈与税の時効成立の8年を経過してから土地の贈与登記を行っていて、税務署から土地の贈与登記時点が贈与時であるから無申告であるとして決定処分を受けた事案で、納税者はこれを不服として裁判に訴えましたが、納税者の訴えは認められませんでした。
このように、不動産贈与については登記が非常に重要になってきます。
(参考文献)
・坪田晶子ほか「不動産を生前贈与する対策」税理57巻13号46頁以下
(2014年)
東京税理士会武蔵野支部所属
日本税務会計学会委員会(法律部門)
『顧問先等の経営危機対応マニュアル』(共著)(新日本法規出版、2022年)
『通知・判例から見る実務ー売買・賃貸借・相続・贈与等ー』(共著)(新日本法規出版、2021年)