生命保険を活用した相続対策は4つ
生命保険を活用した相続対策については、遺産分割の対策、納税資金の対策、相続財産の評価減の対策、二次相続の対策の途中までご説明しました。
今回のテーマは4 二次相続の対策のつづきです。
「生命保険契約に関する権利」を活用した二次相続対策
「生命保険契約に関する権利」を相続する者を工夫することで、二次相続対策における生命保険金への課税軽減を図ることができます。
「生命保険契約に関する権利」とは
生命保険契約に関する権利とは、相続開始の時点においてまだ保険事故が発生していない生命保険契約(一定期間内に保険事故が発生しないことにより返還金等の支払がない、いわゆる掛け捨てタイプを除きます。)について、契約者が有する保険契約上の権利(例えば、保険契約を解約する権利は契約者が有し、解約したら契約者が解約返戻金を受け取ることができます)のことをいいま
す。
被相続人が保険の契約者であり、かつ、保険料負担者(保険契約者=保険料負担者)である場合には、本来の財産として解約返戻金相当額が相続税の課税対象となります。
被保険者以外の者が保険契約者であり、被相続人が保険料負担者(保険契約者≠保険料負担者)である場合には、その保険の契約者が解約返戻金相当額を相続又は遺贈により取得したものとみなされ、相続税の課税対象となります。
効果
生命保険契約に関する権利については、被相続人から配偶者へ権利を引き継がせ、配偶者の死亡時に死亡保険金の受取人を子にしておくことで二次相続対策に活用することができます。
まず、契約者(父)、被保険者(母)、死亡保険金受取人(父)である保険契約があり、父の死亡により生命保険契約に関する権利が生じますが保険事故は発生していないため現金としては何も受け取ることはできません。解約すればその時点での解約返戻金を受け取ることができるため財産の評価としては
解約返戻金相当額での評価となります。
父の死亡(一次相続)の時点で契約者を母、受取人を子へ変更したとします。これにより、配偶者の税額軽減を利用して生命保険契約に関する権利を母が少ない課税で相続することができます。
次に母の死亡(二次相続)の際には、被保険者が母であり、受取人が子であるため死亡保険金の非課税枠を利用することができ、非課税に相当する金額を相続税の課税を受けずに相続することが可能となります。