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【相続対策】遺産分割6

代償分割

相続財産となったひとつの土地が財産の大部分であるような場合には、現物分割が困難であることが少なくありません。

家事事件手続法195条は、家庭裁判所は財産の現物分割が困難等特別な事由があると認めるときは、遺産分割の方法として、共同相続人の1人または数人に他の共同相続人に対し債務を負担させて、現物をもってする分割に代えることができる、と定めています。

このように財産を単独で(または法定相続分以上に)取得する相続人が財産を取得しない(または法定
相続分以下しか取得しない)相続人に対し、後者の相続分に対応するような金銭債務に負担をする旨の遺産分割をすることが認められています。

代償分割のメリット

代償分割は、遺産そのものを第三者に売却することなく遺産分割することができる方法であることから、財産の換価が難しい遺産であっても各相続人の納得が得やすく、トラブルになりにくいという利点があります。

なお、代償分割の要件としては、遺産分割審判をする際において、特別の事情があると認められる時に限り行うことができます(家事事件手続法195条)。

代償分割の場合の遺産分割協議

相続人間の協議で代償分割を行う場合には、代償金を支払う相続人の支払い能力を検討することが重要です。分割協議が成立しても、代償金の支払が不能の場合には後日にトラブルが生じかねません。

代償金の支払能力を見極め、遺産分割協議書には、代償金の支払期日や支払方法を明記しておきましょう。

具体的には、代償財産の条項に、「上記の遺産分割について、各相続人の相続分を調整するため、相続人甲は、他の相続人に対し、それぞれ次の金額を平成◯◯年◯月◯日までに金銭をもって交付するものとする。相続人乙に対し金◯◯万円。相続人丙に対し金◯◯万円。」と記載します。

相続税と所得税

共同相続人がAとBの2人(相続分はいずれも1/2)で相続財産は土地2億円のみという場合に、Aが土地を取得し代償金債務1億円を負担した場合は、(土地2億円ー代償債務1億円)に対応する相続税額を負担することになりBは代償金1億円に対応する相続税額を負担します。

なお、Aが代償分割により交付する資産が金銭(現金)の場合は、Aの譲渡所得についての課税関係は発生しませんが、交付する資産が不動産の場合には時価で譲渡したとみなされ、譲渡所得課税が発生します。

(参考文献)
・小池正明『民法・税法による遺産分割の手続きと相続税実務』98頁以下
(税務研究会出版局、第7版、2015年)
・相続手続研究会『事例式相続実務の手続と書式』(新日本法規出版、2009年)

この記事の執筆者
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川﨑啓税理士事務所 代表 川﨑 啓
保有資格 税理士・行政書士
専門分野 相続
経歴 筑波大学ビジネス科学研究科企業法学修了
東京税理士会武蔵野支部所属
日本税務会計学会委員会(法律部門)
主な著書 『税理士の業務におけるクライアント対応のポイント』(共著)(新日本法規出版、2024年)
『顧問先等の経営危機対応マニュアル』(共著)(新日本法規出版、2022年)
『通知・判例から見る実務ー売買・賃貸借・相続・贈与等ー』(共著)(新日本法規出版、2021年)
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