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【相続対策】遺言書による対策3

遺言書をめぐる注意点

高齢化社会を迎え、遺言書の作成件数は増えてきていますが、トラブルも増加しています。遺言書作成にあたっての注意点について紹介します。

遺言書の形式をめぐる問題

遺言書の形式をめぐる問題は自筆証書遺言を作成する場合に多くなります。

自筆によって遺言を作成する場合には遺言者本人がその全文・日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならず(民法968条1項)、自筆証書遺言中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、
その効力を生じない(民法968条2項)ことになっています。

物件目録等もパソコンで作成すると自筆証書遺言では無効となりますので、公正証書遺言の方が安心です。また、日付の記載については具体的な特定の日付を記載する必要があり、平成28年8月吉日と記載されている場合には、暦上の特定の日付を表示するものとは言えず、無効となります。

遺言能力をめぐる問題

遺言能力については、遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない(民法963条)、15歳に達したものは、遺言をすることができる(民法961条)、成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師2人以上の立会いがなければならない(民法973条1項)と規定されてます。近時、高齢者の認知症等の疾病により遺言者に遺言能力があったか否かをめぐる係争が起こっています。

このような係争を防止するため、遺言者の遺言能力に疑問を持たれる時期以前に遺言を作成しておくことがもっとも重要です。

また、自筆証書遺言よりは公正証書遺言にしておくこと、遺言者について遺言書作成時に医師の診断書を作成し、遺言者本人が自ら遺言の意味を理解しその効果を判断する能力がある旨を記載してもらっておくことも有効です。

遺留分の問題

遺言書の内容によって問題になるのが、その遺言によって遺留分を侵害される遺留分権者との係争です。このような係争を避けるためにも、遺留分権者の遺留分を侵害しないような配慮をした遺言書を作成しましょう。

(参考文献)
・塩路広海「遺言書をめぐるトラブル事例」税理58巻5号28頁以下
(2015年)

この記事の執筆者
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川﨑啓税理士事務所 代表 川﨑 啓
保有資格 税理士・行政書士・認定支援機関
専門分野 相続
経歴 大学卒業後、都内の大手税理士法人にて、相続・資産税部門の責任者として数多くの現場を経験。これまでに携わった相続税申告や生前対策は数百件以上にのぼる。
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